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2012年5月 5日 (土)

第95号 危険な噂パート2

 先回のトドスサントスでの日本人殺害の話を聞いてから何日か経ったころだ。スペイン語の授業を受けに学校に出かけると、事務職員のノラと教師のアリシアがこそこそと話をしている。ウエウエテナンゴのラジオ放送で流されたという噂の話である。以下その概要。

 

 「ウエウエテナンゴの病院から一人のエイズ患者が逃走した。精神に異常をきたしているらしい。注射器に自分の血を採り、道行く人を捕まえては注射をし、エイズを感染させている。特に女性が狙われている。人ばかりではなく、牛や豚にも注射をして病気に感染させ、それを食べた人間への感染も狙っている。道行く人々だけではなく、白衣で医師を装って家庭訪問をしての注射も繰り返す。そして、現在はトドス・サントスに潜伏しているらしい」 

 

 そしてその話を聞いた日の午後、又何人かの人が話をしている。今度はパソコンを開いている。パソコンの記事の発信人はウエウエテナンゴの新聞記者だということだ。

曰く。

 エイズ患者が逃走し病原菌をばらまいているという噂がある。ウエウエテナンゴのすべての病院に確かめたが、そのような患者が逃走したという事実はない。又。噂の中には、犯人とされる人の人物像について正確な情報は何もない。この噂は、2000年に日本人観光客殺害に至った時の「子供をさらう悪魔集団」のうわさ話とよく似ており、危険な要素をはらんでいるので注意が必要だ。

 

 アンティグアのスペイン語学校の先生が、魔女は金曜日に現れるとか、なんだかおどろおどろしい話を真面目な顔をしてよくしていた。マクドナルドの店先に置いてあるマスコット人形の組んだ足が、時々左右入れ替わっているという話もまことしやかにささやかれていた。

 昔長いことホームステイをしていたアンティグアの家の主人が、グアテマラ人は、原住民であれラディーノであれ、魔女や呪術を信じる傾向が強いのだと話していたことを思い出した。

 

日本人殺害の2000年の事件はよく、呪術や迷信を信じる人々の存在とか、写真を撮られることは魂を持っていかれることだと信じ、写真を拒否する人々の存在とかが、その国の後進性や未開と関連づけて語られる。その後の、精神病のエイズ患者の噂は、グアテマラの後進性やそれゆえの怖さを納得させるのにうってつけかもわからない。

 

だが僕は、この話を聞いたとき一番に、関東大震災の時の朝鮮人虐殺に結びついた噂や、フランスで、若い女性が失踪するという噂が街中を覆い恐怖と不信が蔓延したという「オルレアンの噂」を思い出した。

 トドスサントスの事件は、遠い異国の秘境?で起きた後進性ゆえの事件と片付けないでほしいものである。

 遅れている?からではなく、未開であるからでもなく、物の理をわきまえない不可思議な人々の存在故でもなく、もっと普遍的な,あるいは意図をもった悪意を含む人間の心理的一現象だと考える。


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